人が聞いているかどうかで、私たちは話すことを変えたりするものです。「言葉」というものは人とコミュニケーションをとるための便利な手段ではあるのですが、時として余計なことまで伝えてしまいます。
だから私たちは「誰かが聞いていないか」ということを意識して話をします。余計なことを人に聞かれてしまわないか、自分の言葉で不足の事態、余計なことが起こらないか、考えるのです。言葉というものは便利な反面、そのように気をつけて使わなければいけないものなのですが、その言葉、特に口から発せられる「話し言葉」を人しれず盗聴し、その内容に関して何らかの悪意を持って利用しようとする人がいるようです。
その悪意を体現するのが「盗聴器」です。盗聴器は人が「誰にも聞かれていないだろう」と思って口にした言葉をマイクなどで拾い、電波に乗せてその内容を転送したり、あるいは本体に保存して回収されるのを待ったりというような使い方をされています。人のプライバシーの中には考えていること、話していることも含まれます。文字に記すのではなく、「話す」ということは即時的であり瞬間的なことなのですが、それらにはその人が考えていること、感じていること、あるいはその人しかしらないこと、人に聞かれてはいけないことなどが含まれます。そのような内容から何か目的の情報を吸い上げるために、盗聴器は重宝されているのです。
これらの盗聴器は普段の生活の予想もできない場所で見つかるものです。あるいは、見つからずにずっとそのままにされているものです。「まさかこんなところにはないだろう」、「自分なんか盗聴されることはないだろう」というような「裏」をかいて、盗聴器を仕掛ける人はいつの間にかアナタの「言動」を監視しているのです。これはプライベートが侵害されるというようなことだけではありません。もっとも怖いのは「仕事場」での盗聴です。自分が家具などを用意した、あるいは日々掃除している、さらにセキュリティ対策もとっている自宅では、盗聴器も仕掛けられづらいものです。また、人が侵入した形跡などがあればすぐにわかるでしょう。対して「職場」はある意味公共的な場所であり、すべての場所に対して自分の確認が届いているわけではないのです。
また、恐ろしいのはその職場、勤めている会社自体が、従業員の言動を監視するために盗聴器を仕掛けているというケースさえあるのです。
盗聴器からいかに身を守るか、また「盗聴されている」と自覚してしまったときにどのように対処したらいいか、自分の言動と思想を守るための術を、少しずつ紹介していきます。盗聴されているということは「誰かが聞いている」ということです。それが「誰なのか」ということと、「なぜ盗聴なのか」ということをまずは考えることが専決です。そして日頃から「余計なことは言わない」ということを心がけるなど、「盗聴されても動じない」という姿勢も大切です。自分の考え、自分の言葉が何か重大な事故を引き起こしてしまうことを防ぐには、まずは日頃の言動から見直す必要があるのです。それは「いつ、誰に聞かれても良い」というある意味「盗聴を無効化」することでもあります。