会社にとってのセキュリティとは
企業においての「盗聴」は、組織側が従業員を監視するためだけのものではありません。企業は「競争」するものです。同じような製品を扱う他の企業と、敵対しながら経済活動を続けているのです。
ビジネスには「仁義」はありません。出しぬいたもの勝ちなのです。相手よりも少しでも早く、相手よりも少しでも安く、相手よりも少しでも人に気に入ってもらえるように、自社を練成させていくのが経営者の務めです。ただ、どうしても勝てない、まるでこちらの動きを知っているかのように先手を取ってくる競合がいるとしたら、またそれが「たまたま」というレベルではなく、毎回新商品で勝負をかける際にそのようなことが起こっているのだとしたら、それは「偶然が重なった」ということでは済まない可能性があります。こちらの情報が相手に漏れている可能性があります。
「情報管理」という観点は、企業の防衛策のもっとも基本的なものです。余計な情報が表に出ないように配慮すること、企業の中だけで管理すべき情報は、たくさんあるはずです。それが新製品の設計図や、特許として出願しようとしている新技術、あるいは組織的な変動など、漏洩によって重大な事態を引き起こしてしまうかもしれない情報であれば、厳重に管理されなければいけません。当然、それに関わる従業員は、それらを軽々しく社外に持ちだしてはいけませんし、それらを軽々しく人に話してもいけません。そのようなことを規制するのが企業としての「情報管理」です。自社の情報を徹底的に守ること、自社の情報を徹底的に管理することが、現代の企業活動には求められています。
ですが、そのように管理しても、どれだけ厳重にしても、なぜか情報が漏れたとしか考えられない場合、どうしても自社の機密が競合に知られているとしか考えられない場合、「盗聴」を疑った方がいいでしょう。盗聴器はなにもオフィス内だけに仕掛けられているわけではありません。電話線を介した盗聴なども考えられます。簡単に人が出入りすることができない場所なのであっても「絶対」ということはありません。盗聴されているかもしれないと感じたときは、まずは専用の機器などで盗聴器を探した方がいいかもしれません。
それでも見つからない場合、違うルートから情報が漏れている可能性もあります。従業員の使用している端末などが何らかのウイルスに感染しているようなことも疑った方がいいでしょう。企業にとってのセキュリティとは、そのような悪意のある外部からの攻撃にも気を配る必要があります。
企業活動は気をつけなければいけないことがたくさんあります。従業員の心が離れることによる「人」からの情報漏えい、また破壊工作、そして他社など外部からの攻撃による情報漏洩などです。それらに対して万全の構えを見せてはじめて「リスクが軽減された」ということになります。特に上場している会社なのであれば、自社の活動は株主に対しても責任を持たなければいけないものになります。また、新製品などの情報が外部に漏れてしまうと、「インサイダー取引」などにも抵触してしまいます。そのような事が起こらないように、企業のセキュリティは常に万全であることが求められているのです。