驚くほど小型化したICレコーダー
ICレコーダーも多種多様なカタチに変化しています。以前、それこそ「テープ」しかなかったような時代では、そのカセットテープの大きさにレコーダー本体も左右されたものでした。
ですがやがて「電子化」が進んだ段階で、「レコーダー」のカタチは一気に進化したといってもいいでしょう。「それ」はまさしく「自由自在」なカタチを持つようになったのです。「人にバレないように録音したい」という望みを叶えることができたのです。これによって「盗聴」は、新たな姿を得たといってもいいでしょう。集音した音声を無線で飛ばすということだけではなく、録音して回収するということができるようになったのです。その瞬間から、誰でも「盗聴ができる」という時代に突入したのです。
「盗聴器」などはどこで購入すればいいのかわからないものでした。それは専門的な知識を要するアイテムで、使い方も「知らなければいけない」というものでした。ですが、さまざまなカタチに進化したICレコーダーであれば、「盗聴器」という名目で販売しなくても良いのです。「レコーダー」という製品ジャンルは確固としたものがあり、家電量販店でも販売されています。それらをどう使おうと、購入した人の責任になるわけです。それらを考えると、「盗聴」という行為の「間口」自体が広がったともいえます。誰もが携帯電話やスマートフォンを持っている時代です。誰もがその気になれば「録音」することができてしまうのです。誰もが自ら「盗聴」しようと思えばできるのです。誰もがそのような行為に加担することができるのです。
さらに輪をかけて「ICレコーダー」は電卓、カード型、キーホルダー型、ペン型などに姿を変え、いくらでも私たちの目を欺くことができるようになってしまいました。私たちはいつでも、どんなときでも、「盗聴」のリスクに侵されているわけです。ですが、そんなことを考えて怯えていると街を歩くことすらできません。
考えてみると、一般的な商店など、さらにはマンションのエントランスなどにも「監視カメラ」はついているものです。それらは訪れるすべての人を監視しています。それらに対して私たちは「気持ちが悪い」などと考えることはないでしょう。監視されていても、「咎められるようなこと」をしなければいいわけです。堂々と、自分の要件をそこで満たせばいいのです。監視カメラは防犯上必要です。それを、プライバシーの侵害だと考える人は少ないでしょう。
これからの時代は、個人レベルで情報管理が必要になってくるでしょう。ひとりひとりが自分の持っている「情報」、自分にとって大切な「情報」を管理していく必要があるのです。私たちの個人情報を司る「情報」は、実はインターネット上にも登録しているものです。通信販売のショップ、カード情報、メールアドレスなどは顕著なものです。それらを如何にして自分で守るか、如何にして自分で自分の情報を保護するかということを考えなければいけません。それらのなかには簡単に録音できるようになってしまった「言葉」も含まれます。自分の言動には自分で責任を持つということが必要なのです。「言った」ことが「残される」かもしれないということです。